Park(ing) Day 2018 in San Francisco

9月の第三金曜日。今や世界的規模となった年に一度のイベント、Park(ing) Dayの日。

 

その始まりは2005年。当時サンフランシスコにあったデザインスタジオRebarの3名が、特に緑の少ないダウンタウンの一角のメーター式路上駐車スペースを、突如テンポラリーな公園にコンバートしたのです。

 

彼らはメーターに上限の2時間分のコインを入れ、その時間帯だけ駐車スペースに芝生を敷き、ベンチと植栽を置いて、行き交う人誰もが利用できる公園を設えたのです。「車が出たり入ったりを繰り返す路上駐車スペースに、車以外のものがやってきてもいいのでは?」と。遊び心に満ちた、けれども確かなメッセージを伝えた彼らの都市に対する介入は、それを記録した一枚の写真と共にブログを通じて広く知られるようになりました。

翌年以降、9月の第三金曜日はPark(ing) Dayとして、車のストレージスペースとなってしまった通り空間を人間にとってより豊かな場に変えていきたい、と考える市民が実際に行動を起こす機会となっていきました。2011年のPark(ing) Dayでは、既に6大陸、35カ国、162都市で975ものパークが記録されたと言います。

 

また、草の根的な活動はやがてサンフランシスコ市までを動かし、2010年には市が常設のパークレット(道路上の駐車スペースを誰でも楽しめる公共空間へと変えたもの)の設置を積極的に支援すべく公共政策プログラムが整備されました。

そんなRebarの初の試みから13年経過した2018年のサンフランシスコにおけるイベントの模様は、意外にも至極ささやかなものでした。オーガナイザーが参加者を募り、場所の割り当てまでを行うところもある一方で、サンフランシスコではASLA-NCCとAIA-SFが共同で作成したマップがひっそりと公開されたのみ。ソーシャルメディアを見渡しても、サンフランシスコ専用のイベントサイトや統一されたハッシュタグ等はなく、他の都市の様にお祭りの如くどこか浮き足立った雰囲気もありませんでした。

当日見受けられたのは以下の6つのパークです。

SB Architects

BAR Architects

AIASF Mentorship Committee

Interstice Architects

San Francisco Department of Public Works

EHDD

サンフランシスコではパークレットというコンセプト自体が決して目新しいものではなくなったことを改めて実感させられた2018年のPark(ing) Day。インスタレーションを見つけることが難しくなってきた半面、現在市内には50以上もの常設パークレット(パーミットは一年更新)が存在し、日常の街のシーンに溶け込んでいます。そしてこれこそがまさに、Park(ing) Dayのサクセスストーリーなのかもしれません。かつては一日限りのアイディアだったものが、どんどん現実の街に落とし込まれているのだから。

 

市民主権で各人が信念のために立ち上がることを恐れない文化。遊び心に満ちたクリエイティブなマインド。型にはまらず実験的に取り組む姿勢。そしてそれを受け入れるおおらかな雰囲気。元々Park(ing) Dayには、こうした言葉で形容できるサンフランシスコベイエリアの文化が強く反映されています。

 

どうやら単純に駐車スペースを公園に転換するだけでは物足りなくなってきた様子のサンフランシスコPark(ing) Day。自分ゴトとしての都市への介入。未来を見据えたまた次のレベルの投げかけが、今後はさらに期待されます。

※ASLA-NCC: American Society of Landscape Architects Northern California Chapter

※AIA-SF: American Institute of Architects San Francisco

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